オリンパスOM-2S/Pのトップカバーの交換 (2005.10.16)

OM-2S/Pの左肩 交換前OM-2S/Pの左肩 交換後 安いからと言って、当たりありの半ジャンク状態で買ったOM-2S Programだったが、修理して使い始めてみると、やはり新しいカメラはそれなりに使いやすものがあるということに気づいた。しかし、気になるのはやはりその当たりのトップカバーである。一応写真のように裏からたたいて現状のようにふくらませ、黒塗料を塗ってあるのだが、やはりどうにも気になるのである。

 ところが、ある時e-bayを覗いていて面白いものを見つけた。それは、カメラの部品としてトップカバーや底カバーを売っているのである。おそらく、現地の修理業者やSSが在庫処分として廃棄したものをどういう経路か分からないが手に入れて売っているものであろう。だいたい一眼レフで20ドルくらい、ライカだともうちょっと高いくらいの値段である。いつも売っているかというとそうでもなく、またメーカーや機種もバラバラである。面白いことに相当古い機種の部品も出ていて、もしかしたら、古いカメラを手に入れてバラして売っているんじゃないかと思えるほどである。

 そこで、気になるOM-2SProgramのトップカバーを探したのだが、なかなか出てこない。そのうちに出てくると思っていてもなかなかである。見ていると、すぐに売れる物もあれば、全く売れずにだんだんと値を下げていく出品者や、きっと出品したこともわすれたのではと思えるほど同じ値段で並んでいるものもある。

OM-2S/Pの右肩正面 交換前OM-2S/Pの右肩正面 交換後 ところが、この秋、やっと念願のOM-2SProgramのトップカバーを見つけたのだった。さっそくビットしたのだが、すぐに値段を上げられてしまって、しかたがないので高値で落札した。本当は20ドルくらいで欲しかったのだけど、こういうものは欲しい人がいるときはたくさんいるものである。

 出品者はスエーデン人で、送料が15ドルほどかかってしまった。ヨーロッパはやっぱり高いが、まあ、軽いものだからこれでも送料は安いのだろう。1週間ほどで手に入れることができた。

 さて、OM-2SProgramを見ると、もちろんトップカバーの交換はしなければならないが、その他にも張り革の修理をする必要がある。経年変化によるもので前側が剥がれてきている。別に支障はないが、さすがに感じは良くないのだ。

 トップカバーを開けるには、まず巻き上げレバーを外す。この一番上のカバーは薄いプラスチックである。前回の修理の時に穴を開けてしまっているので、私のボディは金色のシールが穴隠しに貼ってある。ちょっとかっこ悪いね。カバーを外すと小さなベアリングボールが落ちてくるので、これをなくさないようにしないとね。あとは、蟹目レンチがあれば問題なく巻き上げレバーは外れる。

  次に、ISO感度表示板である。この下にネジが隠されているので、この表示板を傷つけないように剥がさなければならない。表示窓に眼鏡用のドライバーを突っ込んでちょっと持ち上げたところを周りから同じドライバーであおっていく。私のボディは両面テープだったが、もしかしたら本来はボンドかも知れない。表示板がとれたら、この下のネジをゆるめるとISO感度調整ユニットそのものがスポッととれる。

 次は、巻き戻しクランクである。これは一般的な方法で、フィルム室のところにドライバーを突っ込んで左回りに巻き戻しクランクを回すと簡単にとれる。クランクの下にある、露出切替レバーなども取り去っておく。

 最後にペンタプリズム前と接眼レンズ横にある4本のネジを外すと、すぽっとトップカバーが外れる。この時に、もしかすると、いろいろなものが落ちてくるかも知れないので、気をつけよう。落ちてきそうなものは、前回も書いたが、裏蓋のバネ、巻き戻しクラッチのボタンなど小さなものばかりなので、慎重にする必要がある。

トップカバーを外すと OM-2SProgramは、80年代前半のカメラなので、フレキシブル基板が使われている。しかし、まだ現在のようなフニャフニャの多層ものではなく、ものすごい量の配線であちこちジャンパーされている。これを回路図を使わないで追えたらたいしたものだろうが、今回はそんなめちゃくちゃなことをしなくても良いので助かる。

 トップカバーはこれらの基板とたった4本の線でつながれているだけである。それをそのまま交換すればよいのだ。ただ、実際に作業をしてみると、写真では大きく見えているが、OMシリーズは小型軽量機のパイオニアである。実際は見えているよりもずっと細い線を小さな箇所に半田付けしなければならない。つまり、初めて半田付けするなどという人には向かない作業である。下手すると、フレキシブル基板を切ってしまいかねない。

 私の場合、これらの作業は19W の半田ごてで手早く作業を行った。まあ、普段から使っているので慣れたものである。ただし、小容量の半田ごては半田付けするのには適しているが、半田をはがすのにはあまり向いていない。十分に温めてから一気にやった方がよい。面倒でなければ、30Wくらいの半田ごてで半田をはがし、その後19Wくらいの小さな半田ごてで半田付けしても良いかも知れない。

 半田付けは簡単だったのだが、問題はそのつぎにあった。交換したトップカバーが閉まらないのである。どうも巻き戻しクランク側のどこかで引っかかっているようだ。何度もあちこちやっていると、やっと巻き戻しクランクのところに付いている板バネが引っかかっていることがわかった。この板バネは露出切替レバーを操作して、電池残量のチェックをするときに戻すためのバネである。巻き戻しクランクを取り付ける前に、窓が開いているので、何とかそこを細いドライバーでいじってカバーをする。あとは、分解した反対の要領で組み立てればよいのである。あまり難しいものはないが、巻き戻しクランクにドライバーを入れて、ぎゅっと力を入れない方がよいだろう。以前OM-1を修理してこれをやったら二股のフォークのところが折れてしまって、ネットの友人から部品を譲ってもらったことがあった。なにしろ、メーカーさえジャンク部品から部品取りをしているという話を聞くくらいだから、こういう部品は大切に使いたいものである。

 交換後の写真を見て欲しい。新品ではないのでわずかに使用感はあるが、以前の凹みに比べれば、まず新品といっても良いくらいのできあがりである。逆に巻き戻しクランクの塗装のはがれが気になるくらいの新しさといっても良いだろうか。

 このカメラ、スエーデンから来たので、今までのトップカバーと大きく違うのは今までは「OM-2SProgram」だったのが、今回のトップカバーの表示には「OM-2Spot/Program」となっていることであろう。アメリカは前者の登録なのだが、ヨーロッパは日本と同じ商標が使われているためである。その理由はよく分からない。中身は同じなので問題ないのだろう。

 さて、次は、張り革である。これは経年変化でのりが剥がれてきて、そのままでも問題ないことはないのだが、かっこ悪いのをどうにかしようというものだ。完全に革を取り替えるという方法もあるし、以前ジャンクのOM-2では実際に交換したのだが、このOM-2S/Pの革はそれほどひどくもない。それで、ノリだけ付け直すことにした。

修理完了後のOM-2S/Pと交換したトップカバー 実際には、このOM-2S/Pはノリではなく、両面テープが貼られている。全部を取り替えるという方法もあるが、剥がれてきているのは前側マウント周辺部の鋭角になっているところだけである。それで、その部分を剥がして、裏から両面テープを一部はぎ取り、その形に合わせて新しい両面テープを付けて、ボディに張り直した。全部交換するのに比べるとずいぶんと手抜きであるが、所期の目的は十分に達することができた。これで修理完了である。

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