ペトリレンズのマウント交換

 以前、e-bayで買ったペトリFTが手元にあったが、全く使わないうちに壊れてしまった。ペトリFTのことは真理追究への道「ペトリFT」に書いたので、そちらをご覧になって欲しい。

 さて、カメラが壊れると後に残るのはレンズである。あまり程度が良くなかったこともあって55mmF1.8はボディといっしょに処分してしまった。手元にはボディの無くなった35mmF2.8が残ったのである。ここで、とるべき道はいくつかある。(1)新しいボディを手に入れる。(2)マウントアダプタを手に入れる。(3)レンズも処分する。などなど。 いろいろ考えてみたが、一度も使わずに処分するというのもなんだかもったいない話である。少なくとも一度は気が向いて購入したものなのだから、何とか使ってみたいと思うのだ。すると、とるべき道は、ボディの新規購入か、アダプタかという話となる。

 新しいボディといっても、なにしろペトリなのだ。最終機にしても20年以上たっている上に、壊れるのが当たり前みたいなカメラなのだから、程度の良いものは高いだろうし、だからといって壊れないという保証もない。では、アダプタはどうかというと、ペトリのフランジバックは、43.50mmと非常に短いのだ。手元にあるボディでこれよりもフランジバックが短いのは、オリンパスPEN-F、コニカARしかない。PEN-Fはハーフサイズだし、コニカARはシャッター優先AEなので、どうしようか迷うところだし、なによりもどちらにもペトリのマウントアダプタなんてないのだ。というよりも、どのマウントにもペトリマウントアダプタは存在しない。日本のカメラ界から抹殺されたようなレンズマウントなのだ。

 これじゃあ、レンズがかわいそうである。いろいろいじくり回しているうちに、レンズのマウントそのものを交換するという手を思いついた。これなら、何とか素人細工でもできそうである。レンズマウントを外してみると、わりと簡単な構造である上に、口径も小さい。そして、なによりも、私の手元にあったレンズは絞りのセットを半自動で操作するスイッチが付いていたのだ。これは、開放でピントを合わせてから、ワンタッチで絞り込むことができて、アダプタの使用にはとても便利である。

 カメラの方は、不便を承知でコニカARとした。本当だったらOMを使いたいところだが、OMはフランジバックが長いので、もしかしたら無限が出ないかもと心配したのだ。

 それで、ヨドバシでコニカARマウントのTマウントアダプタを購入した。お店の人が、このマウントはM42じゃないと念を押すので、「どうせ切り落とすのでなんでも良い。」と言ったら笑ってた。ほとんど病人を見る目で見られたような(^^ゞ で、実際にネジの方を切り落とし、ヤスリで磨いてだいたいの平面を出す。この後ノギスで測りながら平面を出した。まあ、この辺りは厚ささえ一定ならあとは何とかなる。ここで厚さが変わっていると、後がたいへんだから、厚さだけは手抜きをしない方がよい。

 次に、レンズ側のマウントを外し、コニカのカメラにぶつかりそうな絞り操作用のピンを取り払った。これで、ペトリマウントでは使えなくなった。おまけにペトリカメラに勘合する爪も切り落とした。今回は、以前購入したルーターにロータリーカッターを取り付けて操作した。前回このカッターを使った時にアルミの削り滓が目に入ってひどい目にあったので、今回は草刈り用のプロテクターを使用する。安物だが、十分である。爪を切り落とした後、やはりヤスリで磨いておく。

改造後のペトリ35mmF2.8 その後、コニカARマウントを重ねて仮に接着し、ペトリマウント側からねじ穴を開けた。コニカマウントは変なところに穴が開くことになるので、ドライバーが干渉しないように、逃げを作っておく。これもルーターの仕事である。とにかくルーターを買ってから、削るとか切るという仕事はほとんど電動ルーターになってしまった。本当なら、手動でやった方がきれいにできる場合でも電動になってしまう。こんなものでしょう。

 マウントの接着は行わず、本来使用していた1.7mmのネジを長いものと交換して、ARマウントといっしょに締めて結合することにする。実際に組み上げて無限遠を見たら、やはりオーバーインフである。今回は焦点距離が35mmなので、オリンパスのバリマグニファインダーを使用してファインダー像を拡大して確認する。無限が出ているところと、レンズのストッパーが利くところ(要するにインフマークのあるところ)の差をノギスで測ると、0.45mmである。そこで、厚さ0.2mmのプラ板を2枚、円切りカッターを使ってリング状に切り抜き、スペーサーとする。あらためて組み直してみると、今度はほとんど無限が出ている。その後、タミヤのプラカラーマットブラックで削ったところを仕上げた。

 まだ、実際にフィルムを通したわけではないし、なにしろ私のコニカFC-1に至っては、裏蓋あたりから光漏れしていて、先日やっとモルトプレーンを足したばかりだから、撮影もしていないので、当然のことながら作例もない。それで、紹介できるわけではない。しかし、レンズを付けて操作した感じではいくつか気づいたことがあるので紹介しよう。

 まず、一番懸念していた絞りの操作と露出計の関係だが、絞りを開放にすると、シャッターに応じた適性露出の絞り値がファインダーに示される。その絞り値にセットしても、実際には開放のままなのでファインダーは暗くならない。この状態で構図を決めてピントを合わせ、シャッターを切る直前に、絞り込みスイッチで絞り込んでやるのだ。M42を使っている人なら全く問題なく使えるであろう。ペンタックスSPの様に露出計のスイッチと絞り込みスイッチが連動しているわけではないが、構図−ピント−絞り(露出)というのは、大判カメラを使っていると自然な動作なのでとまどうことがないのではないだろうかと思った。(使ってみると違うのかも(^^ゞ)

 次に、見た目なのだが、レンズ鏡胴が細くて、その後ろにそれよりも太いマウントがはみ出て見えているのはいただけない。これは削ることもできるのだけれど、考慮中である。きちんとやるならもちろん削ることになるのだが、そこまでしなくてもと思う。

 しかし、考えてみれば、ちょっと使ってみようというレンズをここまでやらなくてもと自分でも凝り性で偏屈だなと思う。先日手に入れたトキナーの24-40mmF2.8なんかも、もしかしたらOMマウントにできないかと(それも開放絞り連動の)考えているところである。ジャンクのトキナーレンズが手に入れば、そのまま交換すればよいのかもと思っているのである。どなたかご存じなら教えていただければ幸いである。ちなみにサービスステーションからは「できません」という連れない返事をいただいた(・_・、)

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